障害年金はいつからもらえる?受給開始時期の考え方を解説

障害年金を検討するとき、「申請したら、障害年金はいつからもらえるのか」と疑問に思う方は多いでしょう。生活費や治療費にも関わるため、受給開始時期はとても重要な問題です。
ただし、障害年金は申請した日から必ず支給されるわけではありません。どの方法で請求するかによって、年金の対象となる時期が異なります。
主な請求方法は、「障害認定日による請求」と「事後重症による請求」の二つです。過去にさかのぼって受け取れる場合もあれば、請求した翌月分からとなる場合もあります。
この記事では、障害年金がいつから支給されるのかを、請求方法ごとにわかりやすく解説します。
障害年金は申請すればすぐにもらえる?
障害年金は、申請書類を提出した直後に入金される制度ではありません。
年金事務所などへ書類を提出した後、初診日や保険料の納付状況、障害の程度などについて審査が行われます。書類に不足や確認事項がある場合は、追加の資料を求められることもあります。
審査にかかる期間は、傷病や申請内容によって異なります。そのため、申請から支給決定までの期間を一律に示すことはできません。
また、年金の対象となる月と、実際に口座へ振り込まれる日は別です。支給が決定した場合は、対象となる過去の月の分を含めて、後からまとめて振り込まれることがあります。
生活設計を考える際は、「申請したらすぐに入金される」とは考えず、審査に時間がかかることも見込んでおく必要があります。
受給開始時期を左右する二つの請求方法
障害年金がいつから支給されるかは、主に請求方法によって決まります。
一つ目は、障害認定日時点の状態で請求する方法です。これを「障害認定日による請求」といいます。
二つ目は、障害認定日には基準に該当しなかったものの、その後に症状が重くなった場合の請求です。こちらは「事後重症による請求」と呼ばれます。
この二つでは、年金の対象となる時期が大きく異なります。
障害認定日による請求はいつから?
障害認定日とは、障害の程度を判断する基準となる日です。
原則として、初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日となります。ただし、一定の治療を受けた場合などには、1年6か月より前の日が障害認定日となることがあります。
障害認定日に法令で定められた障害状態に該当していれば、障害認定日による請求を検討できます。
この請求が認められた場合は、原則として障害認定日の翌月分から年金を受け取れます。
たとえば、障害認定日が4月10日であれば、年金の対象は5月分からです。実際の申請が後になった場合でも、条件を満たせば障害認定日の翌月までさかのぼれる可能性があります。
ただし、20歳前に初診日がある場合などは、20歳に達した時期との関係で受給開始時期が異なることがあります。
過去にさかのぼる「遡及請求」とは?
障害認定日から時間がたった後に、当時の状態へさかのぼって請求することを、一般に遡及請求と呼びます。
遡及請求が認められるには、障害認定日の時点ですでに障害等級へ該当していたことを、診断書などで確認できなければなりません。
現在の症状が重いだけでは、過去の状態まで認められるとは限りません。障害認定日頃の診療記録が残っているか、当時の医師に診断書を作成してもらえるかが重要になります。
また、障害認定日と請求日が1年以上離れている場合は、原則として認定日頃の診断書に加え、現在の状態を示す診断書も必要です。
なお、障害認定日までさかのぼれる場合でも、時効によって実際に受け取れるのは原則として請求時から過去5年分までです。
事後重症による請求はいつから?
障害認定日の時点では障害等級に該当しなかったものの、その後に症状が悪化することがあります。
このような場合に行うのが、事後重症による請求です。
事後重症による請求が認められた場合は、原則として請求日の翌月分から年金を受け取れます。障害認定日までさかのぼることはできません。
たとえば、6月20日に請求書が受け付けられた場合、年金の対象は原則として7月分からです。
そのため、事後重症による請求では、手続きが遅れるほど受給開始時期も遅くなります。症状が基準に該当する可能性がある場合は、早めに準備を始めることが大切です。
なお、事後重症による請求は、原則として65歳の誕生日の前々日までに行う必要があります。
「現在の診断書が重い」だけでは遡及できない
遡及請求について、よくある誤解があります。
それは、現在の診断書で重い障害状態が認められれば、過去の分も受け取れるという考え方です。
しかし、現在の状態と障害認定日頃の状態は、それぞれ別に審査されます。現在は重い状態でも、認定日頃の障害状態を確認できなければ、遡及が認められない場合があります。
反対に、障害認定日頃の診断書や診療記録から、当時すでに基準に該当していたことが確認できれば、遡及請求を検討できます。
受給開始時期を判断するには、現在の状態だけでなく、過去の治療経過を丁寧に確認する必要があります。
初診日によって受給開始時期も変わる
障害認定日は、原則として初診日を起点に計算します。そのため、初診日が変われば障害認定日も変わります。
最初に受診したと思っていた病院より前に、同じ病気に関連する症状で別の医療機関を受診している場合もあります。
特に精神疾患では、不眠や食欲不振などを理由に、最初は内科を受診しているケースがあります。現在通っている精神科の受診日が、必ず初診日になるとは限りません。
初診日を誤って整理すると、障害認定日や診断書を準備する時期もずれてしまいます。
その結果、請求方法や受給開始時期に影響することがあります。
申請時期を自己判断で遅らせないことが大切
障害年金の準備には時間がかかることがあります。
初診の医療機関への確認、診断書の依頼、病歴・就労状況等申立書の作成など、そろえる書類が多いためです。
特に事後重症による請求では、請求日の翌月分からが支給対象となります。準備を始める時期が遅いと、その分だけ受給開始も遅くなる可能性があります。
一方で、書類を急いで提出すればよいわけでもありません。初診日や請求方法を誤ると、追加の確認が必要になったり、本来検討できた請求方法を選べなかったりするおそれがあります。
まずは受診歴を時系列で整理し、どの請求方法を検討できるのかを確認しましょう。
まとめ|請求方法によって受給開始時期は異なる
障害年金がいつからもらえるかは、請求方法によって異なります。
障害認定日による請求が認められた場合は、原則として障害認定日の翌月分から支給対象となります。遅れて請求した場合でも、条件を満たせば過去にさかのぼれる可能性があります。
一方、事後重症による請求は、原則として請求日の翌月分からです。請求が遅れると、受給開始時期も遅くなります。
どちらの方法を選べるかは、初診日や障害認定日、当時の障害状態によって決まります。本人が自由に選べるものではありません。
「いつから受け取れるのか分からない」「過去にさかのぼれるか確認したい」という場合は、早めに障害年金に詳しい社労士へ相談することも一つの方法です。
受給開始時期を正しく把握することは、今後の生活設計を考えるうえで大切な準備になります。

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