なぜ障害年金では初診日が重要なのか?

障害年金について調べていると、「初診日が重要」という説明を何度も目にすると思います。しかし、なぜ一日の違いがそれほど重要なのか、初めて手続きをする方にはわかりにくいかもしれません。
障害年金における初診日は、単に最初に病院へ行った日というだけではありません。どの年金制度が適用されるのか、保険料の条件を満たしているのか、いつの障害状態を確認するのか。こうした重要な判断は、すべて初診日を起点として行われます。
そのため、初診日の整理を誤ると、申請全体に影響することがあります。この記事では、初診日が重要とされる理由を、制度の仕組みからわかりやすく解説します。
そもそも初診日とは?
障害年金における初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。
ここで注意したいのは、現在通っている病院を初めて受診した日とは限らないことです。また、病名が確定した日や、症状が最も重くなった日でもありません。
たとえば、現在は精神科に通院している方でも、最初は不眠や動悸、食欲不振などを理由に内科を受診していることがあります。その内科での診療が現在の病気につながるものであれば、内科を受診した日が初診日になる可能性があります。
このように、初診日は病院名や診療科だけで決めるものではありません。症状の始まりや受診の理由、その後の治療経過まで確認する必要があります。
理由1|適用される年金制度が決まる
初診日が重要な一つ目の理由は、請求する障害年金の種類が決まるためです。
初診日に国民年金へ加入していた場合は、原則として障害基礎年金が対象になります。会社員などとして厚生年金に加入していた期間に初診日があれば、障害厚生年金の対象となります。
障害基礎年金には1級と2級があります。一方、障害厚生年金には1級、2級に加えて3級があります。一定の条件を満たす場合には、障害手当金が支給されることもあります。
つまり、同じ病気で同じ程度の障害があっても、初診日に加入していた制度によって請求できる年金が変わります。
特に、退職日の前後に初めて受診している場合は注意が必要です。初診日が退職前であれば厚生年金、退職後であれば国民年金として扱われる可能性があります。
そのため、自分にとって都合のよい日を初診日として選ぶことはできません。
診療記録などに基づき、事実を正しく確認する必要があります。
理由2|保険料納付要件を判断する基準になる
二つ目の理由は、保険料納付要件の確認に使われるためです。
障害年金は、障害の程度が基準に該当するだけで受け取れるものではありません。原則として、初診日の前日時点で一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。
このため、初診日が変われば、確認される納付期間も変わります。初診日を誤って整理すると、本来とは異なる期間で保険料の納付状況を確認されるおそれがあります。
また、障害年金の申請を考え始めてから過去の未納分を納めても、初診日の前日時点で納付していたことにはならない場合があります。
保険料の納付状況に不安がある方は、申請準備の早い段階で年金記録を確認することが大切です。
なお、20歳前の年金制度に加入していない時期に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。ただし、本人の所得に応じた支給制限など、別の条件があります。
理由3|障害認定日を決める基準になる
三つ目の理由は、障害認定日を決める基準になるためです。
障害認定日とは、障害の状態が年金の基準に該当するかを確認する日です。原則として、初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日になります。
この日に障害等級へ該当していれば、障害認定日による請求を検討できます。一方、その時点では基準に該当せず、後から症状が重くなった場合は、事後重症による請求を検討します。
どちらの方法で請求するかによって、年金を受け取れる時期が変わることがあります。そのため、初診日がいつかという点は、請求方法にも大きく関係します。
なお、すべての病気やけがで必ず1年6か月を待つわけではありません。人工透析など、一定のケースでは別の時期が障害認定日となることがあります。
いずれの場合も、初診日が確定しなければ、障害認定日を正しく判断することはできません。
初診日は自己判断で決められない
初診日は重要ではありますが、申請者が自由に選べるものではありません。
「厚生年金に加入していた時期を初診日にしたい」「保険料を納めていた時期に合わせたい」と考えても、希望する日を選ぶことはできません。
初診日は、受診状況等証明書や診療記録、紹介状、お薬手帳などの資料をもとに確認します。複数の医療機関を受診している場合は、現在の病気と過去の症状との関係も整理します。
特に精神疾患では、最初に内科や心療内科を受診していることがあります。発達障害では、幼少期からの経過や知的障害の有無なども確認が必要です。
過去の病気と現在の病気が同じ傷病として扱われるのか、それとも別の病気として扱われるのか。こうした判断は、病名だけで簡単に決められるものではありません。
初診日を証明できない場合はどうする?
初診日は、原則として最初に受診した医療機関の証明で確認します。
しかし、初診から長い年月がたっていると、カルテが廃棄されていたり、医療機関が閉院している場合もあります。
このような場合でも、すぐに申請を諦める必要はありません。診察券やお薬手帳、領収書、紹介状、健康保険の記録などが手がかりになることがあります。
一定の条件を満たせば、第三者の証明や参考資料を組み合わせて初診日を申し立てる方法もあります。ただし、必要となる資料は個別の状況によって異なります。
まずは、いつ頃から症状が出たのか、どの病院を受診したのかを時系列で整理することが大切です。そのうえで、病院への確認や資料集めを進めると、手続きが分かりやすくなります。
まとめ|初診日は障害年金申請の出発点
初診日は、障害年金の申請における制度全体の出発点です。
初診日に加入していた制度によって、障害基礎年金か障害厚生年金かが決まります。保険料納付要件を確認する期間も、障害認定日も、初診日をもとに判断されます。
そのため、初診日を誤って整理すると、申請全体に影響する可能性があります。
一方で、昔の記憶だけを頼りに無理に日付を決める必要はありません。受診の経過や資料を一つずつ確認し、事実に沿って整理することが大切です。
「どの病院が初診か分からない」「昔の病院にカルテが残っていない」「過去の病気と現在の病気の関係が分からない」という方もいるでしょう。
そのような場合は、早い段階で障害年金に詳しい社労士へ相談することも一つの方法です。
初診日を正しく確認することが、安心して申請を進めるための第一歩になります。

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