初診日の証明ができない場合の対処法

障害年金の申請では、初診日を確認できる書類が重要です。
しかし、最初の受診から長い年月がたっていると、医療機関にカルテが残っていないことがあります。
初診日の証明書を取得できないと、「もう申請はできないのでは」と不安になる方もいるでしょう。
証明書を用意できないからといって、必ずしも申請が不可能になるわけではありません。
状況によっては、次に受診した医療機関の記録や、当時の受診を示す資料を使える場合があります。
第三者による証明や、初診日が存在する期間を確認する方法が検討されることもあります。
大切なのは、最初から一つの方法に決めつけないことです。
残っている資料を確認し、事実関係を丁寧に整理しながら進める必要があります。
この記事では、初診日の証明ができない場合に、どのような対処法が考えられるのかを解説します。
初診日の証明はなぜ必要なのか
初診日は、単なる受診歴の確認ではありません。
どの年金制度が適用されるか、保険料納付要件を満たしているか、障害認定日がいつになるかを判断する基準です。
そのため、障害年金の請求では、原則として初診の医療機関が作成する「受診状況等証明書」を提出します。
現在の診断書を作成する病院と、初診の病院が同じ場合には、診断書の記載によって確認できることもあります。
初診の病院が異なる場合は、受診状況等証明書が必要になるのが一般的です。
証明書を取得できない主な理由
初診日の証明ができない理由として多いのが、カルテの保存期間を過ぎているケースです。
医療機関には診療録を保存する義務がありますが、永久に保存されるわけではありません。
初診から長い年月がたっている場合は、すでに廃棄されていることがあります。
病院や診療所が閉院している場合もあります。
また、病院名を正確に覚えていない場合や、転居を繰り返している場合もあります。
複数の診療科を受診していると、どこが初診なのか判断しにくくなります。
まずは、なぜ証明書を取得できないのかを明らかにすることが大切です。理由によって、その後に検討する方法が変わるためです。
「添付できない申立書」を準備する
初診の医療機関から受診状況等証明書を取得できない場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を使用します。
この書類には、初診の医療機関名や受診した時期、証明書を添付できない理由などを記載します。
ただし、この申立書を提出するだけで、初診日が自動的に認められるわけではありません。
申し立てた内容を裏付ける資料と一緒に提出し、総合的に判断されます。
そのため、どのような資料が残っているかを幅広く確認する必要があります。
次に受診した医療機関の記録を確認する
最初の医療機関にカルテが残っていなくても、次に受診した病院の記録が役立つことがあります。
転院先のカルテには、「以前はいつ頃から、どの病院へ通院していたか」といった内容が記載されている場合があります。
まずは、二番目以降の医療機関に、受診状況等証明書の作成が可能か確認してみましょう。
その証明書の中に、最初の病院名や受診時期が記載されていれば、初診日を確認する資料として検討される可能性があります。
現在の主治医のカルテにも、過去の受診歴が記載されていることがあります。
問診時に本人が伝えた内容だけなのか、紹介状などに基づく内容なのかも確認が必要です。
初診日を裏付ける参考資料を探す
医療機関の正式な証明書がない場合は、初診日頃の受診を示す客観的な資料を探します。
たとえば、診察券、入院記録、医療機関や薬局の領収書などです。
健康保険の給付記録やレセプトが手がかりになることもあります。
障害者手帳を申請した際の診断書や、生命保険などの給付請求に使用した診断書が残っている場合もあります。
勤務先の健康診断記録や、人間ドックの結果も確認しましょう。
交通事故が原因であれば、交通事故証明書などが参考になる可能性があります。
お薬手帳や薬の袋、昔の手帳などから、通院時期を確認できることもあります。
ただし、資料によって証明できる内容や重みは異なります。
一つの資料だけではなく、複数の資料を組み合わせて経過を説明することが重要です。
第三者による証明を検討する
一定の条件を満たす場合は、初診日頃の受診状況を知っている第三者による証明を提出できることがあります。
第三者とは、当時の受診を直接見ていた人や、その頃に本人や家族から受診状況を聞いていた人などです。
たとえば、当時の勤務先の上司や同僚、学校の先生、友人などが考えられます。
初診の医療機関に勤務していた医師が、当時の受診を直接覚えているケースもあります。
ただし、誰でも証明者になれるわけではありません。三親等内の親族は、原則として第三者証明を行えません。
また、初診日が20歳前か20歳以降かによって、必要となる資料や取扱いが異なります。
第三者証明だけで認められるとは限らず、参考資料が必要になる場合もあります。
初診日を「一定の期間」として確認する方法
正確な日付を示す資料がなくても、初診日が存在する期間を確認できる場合があります。
たとえば、ある時点の健康診断では発病していなかったことがわかり、その後に受診した医療機関の記録が残っているケースです。
この場合、「健康診断を受けた日から、次の医療機関を受診した日まで」というように、初診日が存在する期間を絞れる可能性があります。
ただし、この方法が使えるかどうかは、その期間中の年金加入状況や保険料納付状況などによって異なります。
国民年金と厚生年金の加入期間が混在している場合は、特に慎重な確認が必要です。
初診日がどの制度の加入期間にあるかによって、請求できる年金の種類が変わるためです。
病歴・就労状況等申立書だけでは足りないことも
病歴・就労状況等申立書には、発病から現在までの受診歴や生活状況を記載します。
申立書は、受診経過を分かりやすく伝えるための書類です。一方、初診日の証明には、客観的な資料が重視されます。
そのため、「申立書を詳しく書けば証明書の代わりになる」と考えるのは注意が必要です。
参考資料や第三者証明などと内容を合わせ、初診から現在までの流れに矛盾がないように整理することが大切です。
書類の食い違いに注意する
初診日の証明が難しいケースでは、提出する書類全体の整合性が重要になります。
たとえば、申立書では初診日を春頃としているのに、診断書には秋頃と書かれている場合があります。
転院の時期や病院名が、書類ごとに異なるケースもあります。
小さな記憶違いが直ちに不支給へつながるとは限りません。しかし、重要な部分に食い違いがあると、追加の確認が必要になります。
資料を提出する前に、病院名、受診時期、症状、転院の経緯を時系列で並べてみましょう。
わからない部分を推測で埋めることも避ける必要があります。
「正確な月は不明」など、わからないことはわからないとしたうえで、確認できる事実を示すほうが適切です。
病院が閉院している場合の確認方法
初診の医療機関が閉院している場合は、まず記録の引継ぎ先がないかを確認します。
地域の医師会や都道府県などへ問い合わせることで、情報が得られる場合があります。
別の医療機関がカルテを引き継いでいるケースもあります。
また、利用していた薬局に記録が残っていないか確認する方法もあります。
閉院しているから記録が一切ないと決めつけず、どこかに資料が残っていないかを順番に探すことが大切です。
ただし、記録の保存状況は医療機関ごとに異なります。問い合わせをしても、必ず資料が見つかるとは限りません。
専門家へ相談する意味
初診日の証明が難しいケースでは、一律に必要な資料が決まっているわけではありません。
20歳前の初診か、20歳以降の初診かによっても対応が異なります。
年金の加入状況や受診歴によって、使える方法が変わることもあります。
障害年金に詳しい社労士へ相談すると、まず受診歴を時系列で整理できます。
そのうえで、どの医療機関へ確認するか、どの資料を探すかを検討します。
ただし、専門家へ依頼すれば必ず初診日が認められるわけではありません。
残っている事実と資料をもとに、可能性のある方法を一つずつ検討することになります。
まとめ|証明書がなくても諦めずに確認する
初診の医療機関から受診状況等証明書を取得できなくても、すぐに障害年金の申請を諦める必要はありません。
次に受診した医療機関の記録や診察券、領収書、健康診断結果などが、初診日を確認する手がかりになることがあります。
条件を満たせば、第三者による証明や、初診日が存在する一定期間を示す方法を検討できる場合もあります。
一方で、どの資料でも代わりになるわけではありません。
大切なのは、記憶だけで日付を決めず、確認できる事実を丁寧に積み重ねることです。
初診日の証明が難しいと感じたら、早い段階で年金事務所や障害年金に詳しい社労士へ相談することも一つの方法です。
状況に合った証明方法を整理することが、申請へ進むための第一歩になります。

まずはお気軽にご相談ください


