初診日が複数ある場合はどう考える?

障害年金のご相談では、「いくつもの病院を受診しているため、どの日が初診日になるのか分からない」という質問が多く寄せられます。
長期間にわたって治療を受けている方の中には、内科から精神科へ移ったり、引っ越しなどを理由に転院したりしている方もいます。また、治療の途中で診断名が変わることも珍しくありません。
このような場合、受診した医療機関初診日が複数あるように感じるかもしれません。しかし、障害年金では、単純に病院ごとの最初の受診日を初診日とするわけではありません。
大切なのは、現在の障害の原因となった傷病について、最初に医師または歯科医師の診療を受けた日を確認することです。
障害年金における初診日とは
障害年金の初診日とは、「障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」です。
例えば、最初にA病院を受診し、その後B病院、C病院へ転院した場合を考えてみましょう。
A病院から現在までの症状や治療が続いているのであれば、原則としてA病院の受診日が初診日となります。B病院やC病院を初めて受診した日が、新しい初診日になるわけではありません。
初診日は、障害年金の種類や保険料納付要件、障害認定日などを判断する基準になります。そのため、どの日を初診日とするかは、請求手続きの中でも特に重要な問題です。
転院していても初診日は変わらない
同じ病気やけがの治療を続けながら病院を変えた場合、通常は最初の医療機関を受診した日までさかのぼって確認します。
専門医を紹介された場合だけでなく、引っ越し、医師との相性、病院の閉院などによって転院した場合も同様です。
また、一時的に通院を中断していたとしても、それだけで別の初診日になるとは限りません。
通院していなかった期間の長さだけで判断するのではなく、症状がどのように変化したのか、治療の必要がないほど回復していたのかなどを確認する必要があります。
医療機関を何度も変えている方は、受診した順番を時系列に並べて整理することが大切です。
診断名が変わった場合はどうなる?
精神疾患では、治療の途中で診断名が変わるケースがあります。
例えば、最初は不眠症や自律神経失調症と診断され、その後、うつ病や双極性障害などの診断を受けることがあります。
適応障害や不安障害と診断された後に、別の精神疾患へ診断名が変わる場合もあります。
このようなケースでは、診断名が変わったという理由だけで、新しい初診日が設定されるわけではありません。
最初の受診時に現れていた症状と、現在の障害の原因となっている傷病との間に関連性があるかを確認します。
一方、以前の病気がいったん回復し、社会生活にも特に支障がない期間が続いた後、別の原因によって新たな病気を発症したと考えられる場合もあります。
その場合は、後の受診日が新しい初診日として検討される可能性があります。
ただし、この判断は診断名や通院していない期間だけでは決められません。
診療録の内容、治療経過、服薬状況、日常生活や就労の状態などを踏まえて、個別に検討されます。
別の傷病であれば初診日も別になる
複数の医療機関を受診している理由が、それぞれ別の傷病である場合には、傷病ごとに初診日が存在します。
例えば、若い頃から精神疾患で通院している方が、その後の事故によって足に障害が残った場合を考えてみましょう。
精神の障害と足の障害に医学的な関連性がなければ、それぞれの傷病について初診日を確認します。
一方で、最初の病気が原因となって次の病気が発生したと考えられる場合には、「相当因果関係」が問題になることがあります。
相当因果関係が認められる場合は、後から発生した傷病だけを見るのではなく、前の傷病の初診日が障害年金上の初診日となることがあります。
傷病名が二つあるからといって、必ず初診日も二つになるわけではありません。
反対に、似た症状があっても、医学的に別の傷病と判断される可能性もあります。
初診日を確認するときに整理したいこと
初診日が複数あるように感じる場合は、まず、これまでの受診歴を時系列で書き出してみましょう。
医療機関名、診療科、受診した時期、当時の症状、診断名、治療内容などを整理します。紹介状を持って転院したのか、自分で別の病院を受診したのかも重要な情報です。
あわせて、通院していなかった期間の生活状況も確認します。
日常生活で困ったことはあったのか、服薬を続けていたのか、家族の援助が必要だったのかなどを振り返ることで、症状の連続性を検討しやすくなります。
初診日の証明には、一般的に最初の医療機関が作成する「受診状況等証明書」を使用します。
しかし、古い受診でカルテが残っていない場合や、医療機関が閉院している場合もあります。
そのようなときは、次の医療機関の診療録や紹介状、健康保険の記録、診察券など、初診日を確認できる資料がないかを検討します。
自己判断で初診日を決めないことが大切
障害年金の初診日は、単に「現在の病名を初めて告げられた日」ではありません。
最初は別の診療科を受診していた場合や、異なる診断名が付けられていた場合でも、その受診が現在の障害につながっていれば、初診日となる可能性があります。
反対に、過去に似た症状で受診していたとしても、現在の傷病とは医学的に別のものとして扱われる場合があります。
初診日を誤って申し立てると、後から受診歴をさかのぼって確認する必要が生じたり、書類を取り直したりすることがあります。
初診日時点の年金制度や保険料納付状況によっては、受けられる障害年金の種類にも影響します。
そのため、最初から一つの日に決めつけず、受診歴と症状の経過を丁寧に整理することが重要です。
まとめ
障害年金で初診日が複数あるように見える場合でも、基本となるのは「現在の障害の原因となった傷病について、最初に診療を受けた日」です。
同じ傷病で転院した場合、転院先の受診日が新しい初診日になるわけではありません。
診断名が変わっている場合も、症状や治療経過に連続性があるかを確認する必要があります。
一方、医学的に別の傷病である場合や、以前の傷病が回復した後に新たな傷病を発症した場合には、それぞれの初診日が検討されることがあります。
複数の病院を受診しているケースでは、傷病同士の関連性や症状の連続性について、慎重な判断が必要です。
判断が難しい場合は、障害年金に詳しい社会保険労務士へ早めに相談することで、必要な証明書や資料を確認しながら手続きを進めることができます。

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